夢物語

ディープインパクトはその名の通り今年『一番の衝撃』を敗戦という形で私たちに与えました。『競馬に絶対はない』と良く言われますが、これがあるから競馬は成り立つのだろうし、面白いのでしょう。『無敗』という名の冠はなくなりましたが、ディープが日本近代競馬に与えた衝撃はホンモノ。温かくその結果を受け入れてあげたいと思います。


細かなレース回顧をする前に、有馬で引退する3頭のことを書いておきたいと思います。


サンライズペガサス
兎に角、この馬は運がなかった。2度の屈腱炎、大舞台での出遅れ、最後の最後で立て続けの騎手変更*1...。アグネスタキオンクロフネジャングルポケットマンハッタンカフェといった大物世代に生まれなかったら、G1に手が届いてもおかしくない馬だっただけに残念。しかし、それでもGⅡを3勝したのは立派という他ない。


日本競馬を席巻した3頭の種牡馬サンデーサイレンスブライアンズタイムトニービン)。その中で、サンデー×トニービンでの活躍馬は数知れませんが*2、サンデー×ブライアンの組み合わせで活躍しているのは同馬のみ。そういう意味でも、種牡馬としてこれからその血を残していってもらいたい。Hail to Reason の3x4という血統だけに、アウトブリードで体の強い牝馬との配合を望みます。


タップダンスシチー
『競馬は逃げ馬がいてこそ成り立つもの』これが私の持論です。
そういう意味でここ数年の日本競馬を支えたタップの活躍には最大の賛辞を送りたいと思っています。それと同時に早熟化が進む競馬界において、ここまでの晩成馬が現れたことに未だに驚きを感じています。


宝塚記念単勝1.9倍で惨敗し、その後も調子が上がらなかった同馬は年齢的な衰えからもいつ引退しても可笑しくない状況だったはず。しかし競馬界を盛り上げるために引退せず、その記憶に残る逃げを最後の最後まで披露してくれたことに感謝したい。
レース前に佐々木調教師が「ディープの100分の1でいいですから応援してください」言っていましたが、ディープ敗戦で異様な空気に包まれる中山での引退式を見守った2万人以上のファンは、3冠馬に匹敵する期待と感謝をこの馬に込めていたのだと思う。


ゼンノロブロイ
予見していたとおり、同馬は着外でその競走人生を終えました。やっぱり勝つとしたら天皇賞(秋)がラストチャンスだったのかな〜という気がしています。
この馬の最大の強みは気性の良さからくる脚質の自在性(先行力)だと思うのですが、ラスト2戦はいずれも中団よりやや後方になってしまったことは非常に残念です。しかしこの2年、古馬の代表として頑張ったことは十分評価してよいと思う。


唯、種牡馬としてのこの馬の評価はどうなるのでしょう?有馬をレコードで勝ったように中長距離でのスピードはホンモノですが、血統的に活躍馬はマイル辺りになりそうな気がします。サンデー後継者争いは結構厳しいものと思いますが、是非ともそのスピードを受け継ぐ馬を出してもらいたいものです。

*1:JC:後藤→蛯名、有馬:蛯名→田中勝

*2:ハーツクライアドマイヤグルーヴリンカーンアドマイヤベガなど